家族葬と一般葬の違いは?費用や流れ、メリット・デメリットを比較解説
最終更新:2025-10-31
葬儀を執り行うにあたり、家族葬と一般葬のどちらを選ぶべきか悩む方は少なくありません。
家族葬と一般葬の違いを理解しないまま形式を決めると、後々悔やむ可能性があります。
この記事では、参列者の範囲、費用、葬儀の流れ、それぞれのメリット・デメリットといった観点から、家族葬と一般葬の具体的な違いを比較解説します。
ご自身の状況に合った最適な葬儀形式を選ぶための判断材料として、ぜひ参考にしてください。
家族葬と一般葬の最も大きな違いは「参列者の範囲」
家族葬と一般葬の最も大きな違いは、どこまでの範囲の方に参列いただくかという点にあります。
家族葬は、遺族や親族、故人と特に親しかった友人など、参列者を限定して行う小規模な葬儀です。
一方、一般葬は、遺族や親族だけでなく、会社の同僚や近所の方など、故人と生前に関わりのあった方々へ広く訃報を知らせ、参列を募る形式を指します。
この参列者の範囲の違いが、費用や当日の流れ、遺族の負担にも影響を及ぼします。
家族葬:親しい人だけで故人を見送る小規模な葬儀
家族葬は、故人の家族や親族、親しい友人といったごく限られた範囲の人々のみで執り行う葬儀形式です。
参列者の範囲に明確な定義はありませんが、遺族の意向によって招待する人を決定します。
そのため、会社関係者や近所の方など、義理での参列者は基本的にお呼びしません。
参列者の人数が少ないため、遺族は一人ひとりとゆっくり話したり、故人との思い出を共有したりする時間を確保しやすいのが特徴です。
アットホームな雰囲気の中で、故人との最後の時間を大切に過ごしたいと考える方に選ばれる傾向があります。
家族葬と一般葬の選択は、故人や遺族の意向を最も尊重できる形を選ぶことが重要です。
一般葬:故人と生前に関わりのあった多くの人が参列する葬儀
一般葬は、古くから行われている伝統的な葬儀形式で、故人と生前に交流のあった方々に広く訃報を知らせ、参列を募ります。
参列者には、遺族や親族だけでなく、会社の同僚や上司、学生時代の友人、近所の方々など、いわゆる一般参列者も含まれます。
社会的なつながりを重視し、故人がお世話になった多くの方々にお別れの機会を提供することを目的としています。
そのため、参列者の人数が多くなる傾向にあり、大規模な葬儀会場が必要になることもあります。
故人の社会的地位や交友関係の広さを反映した、格式のあるお見送りが可能です。
【項目別】家族葬と一般葬の費用を徹底比較
葬儀形式を検討する上で、費用は非常に重要な要素です。
家族葬と一般葬では、参列者の人数が大きく異なるため、葬儀にかかる費用総額や、香典収入を考慮した後の自己負担額に差が生じます。
ここでは、葬儀費用全体の相場と、香典収入を踏まえた自己負担額という二つの側面から、それぞれの費用について詳しく比較し、解説していきます。
ご自身の予算や状況に合わせて、どちらの形式が適しているかを判断する参考にしてください。
葬儀費用全体の相場はどれくらい違う?
葬儀費用全体の相場を比較すると、家族葬の方が一般葬よりも低くなる傾向にあります。
この費用の差が生まれる主な要因は、参列者の人数です。
一般葬では参列者が多いため、広い式場の手配が必要となり、会場費が高くなります。
また、参列者をもてなすための飲食費や、返礼品の費用も人数に比例して増加します。
一方、家族葬は参列者が少ないため、比較的小さな式場で済み、飲食費や返礼品費も抑えることが可能です。
ただし、葬儀の基本料金である祭壇や棺、人件費などは葬儀の規模に関わらず発生するため、家族葬であってもオプションなどを追加すれば費用は高額になる場合があります。
香典収入を考慮すると自己負担額はどう変わる?
葬儀費用を考える際には、香典収入を差し引いた実質的な自己負担額で比較することが重要です。
一般葬は参列者が多いため、いただく香典の総額も多くなる傾向にあります。
この香典収入によって、葬儀費用の一部を賄うことができ、結果的に遺族の自己負担額が軽減される可能性があります。
対して家族葬は、参列者が少ない、あるいは香典を辞退する場合も多いため、香典収入はあまり期待できません。
そのため、葬儀費用そのものは安くても、自己負担の割合が高くなるケースも考えられます。
単純な総額だけでなく、受け取る香典の額を予測した上で、最終的な費用負担を比較検討する必要があります。
葬儀当日の流れに違いはある?通夜から告別式までを解説
家族葬と一般葬では、葬儀当日の儀式的な流れに大きな違いはありません。
どちらの形式を選んでも、故人を偲び、冥福を祈るという本質は同じです。
しかし、参列者の人数や構成が異なるため、遺族の動きや対応面で違いが生じます。
ここでは、通夜から告別式までの基本的な流れは共通している点を説明しつつ、参列者対応においてどのような差が出てくるのかを具体的に解説します。
基本的な儀式の流れ(通夜・告別式)は同じ
葬儀の基本的な進行は、家族葬と一般葬で違いはありません。
一般的に、1日目に通夜を執り行い、2日目に葬儀・告別式、そして火葬という流れで進みます。
通夜では僧侶による読経や焼香が行われ、故人と共に最後の夜を過ごします。
告別式でも同様に読経や焼香があり、最後のお別れを経て出棺、火葬場へと向かいます。
これらの宗教的な儀式の内容が、葬儀の形式によって簡略化されたり、省略されたりすることはありません。
故人を弔うための本質的な儀礼は、どちらの形式においても同様に、厳粛に執り行われるものと認識しておく必要があります。
参列者への対応(受付や挨拶)で違いが出る
儀式の流れは同じでも、参列者への対応という点では大きな違いが生じます。
一般葬では、多くの一般参列者が訪れるため、受付の設置や人員の確保が必須です。
遺族は次々と訪れる弔問客への挨拶や対応に追われ、精神的にも身体的にも大きな負担がかかります。
一方、家族葬は参列者が親しい人々に限定されているため、受付を簡素化したり、設けないケースも少なくありません。
弔問客への形式的な挨拶に時間を費やすことがないため、遺族は故人との最後の時間をゆっくりと過ごすことができます。
この参列者対応の負担の差が、遺族の心のゆとりにも影響を与える点です。
後悔しないために知っておきたい!家族葬と一般葬のメリット・デメリット
家族葬と一般葬、どちらの形式を選ぶか決める際には、それぞれのメリットとデメリットを正しく理解しておくことが後悔しないための鍵となります。
家族葬と一般葬の違いは単に規模の大小だけでなく、費用面や遺族の負担、周囲との関係性にも影響を及ぼすからです。
両方の良い点と注意すべき点を比較し、故人の遺志や自分たちの状況に最も適した形はどちらなのかを慎重に判断することが求められます。
家族葬を選ぶメリット|故人とゆっくりお別れできる
家族葬の最大のメリットは、親しい間柄の人たちだけで、故人との最後の時間をゆっくりと過ごせる点にあります。
一般葬のように多くの参列者への挨拶や対応に追われることがないため、精神的・身体的な負担が軽減されます。
故人の好きだった音楽を流したり、思い出の品を飾ったりと、形式にとらわれずアットホームな雰囲気で故人らしいお見送りがしやすいのも特徴です。
また、参列者が少ない分、会場費や飲食接待費、返礼品などの費用を抑えられる傾向にあります。
家族葬と一般葬で迷った際に、故人との時間を大切にしたいと考える方にとって、これらの点は大きな利点となるでしょう。
家族葬を選ぶデメリット|周囲への説明が必要になる
家族葬のデメリットは、参列者を限定することによって生じる人間関係の問題です。
訃報を後から知った方や、葬儀に呼ばれなかった方から「なぜ知らせてくれなかったのか」と思われ、関係がこじれてしまう可能性があります。
そのため、葬儀後に個別の挨拶回りや報告が必要になり、かえって手間が増えることもあります。
また、後日自宅へ弔問に訪れる方が相次ぎ、その対応に追われるかもしれません。
香典を辞退するケースも多いため、葬儀費用の自己負担額が想定より大きくなる可能性も考慮すべき点です。
家族葬と一般葬を比較する際は、これらの事後対応についても視野に入れる必要があります。
一般葬を選ぶメリット|多くの人に見送ってもらえる
一般葬の大きなメリットは、故人と生前に関わりのあった多くの人々に見送ってもらえる点です。
会社関係者や友人、近所の方など、幅広い層が参列するため、故人が築いてきた社会的なつながりを大切にしたお別れができます。
多くの人が弔問に訪れることで、遺族は故人がどれだけ慕われていたかを再認識でき、慰められることもあります。
また、香典収入が多く見込めるため、葬儀費用の自己負担を軽減できる可能性があります。
葬儀の場で一括して弔問対応が済むため、後日個別に自宅へ弔問に訪れる人が少なく、事後の負担が減る点も利点です。
家族葬と一般葬で迷う際、社会的なお別れの場を設けることを重視するなら一般葬が適しています。
一般葬を選ぶデメリット|費用や参列者対応の負担が大きい
一般葬のデメリットとして、まず費用が高額になりがちな点が挙げられます。
参列者が多いため、広い葬儀会場が必要になり、飲食接待費や返礼品の費用も人数分かさむからです。
事前の準備も、参列者の人数を予測したり、席次を考えたりと煩雑になりがちです。
葬儀当日は、ひっきりなしに訪れる弔問客への挨拶や対応に追われ、遺族が故人とゆっくりお別れする時間を確保するのが難しい場合があります。
精神的にも身体的にも負担が大きくなることは覚悟しておかなければなりません。
費用や遺族の負担をできるだけ抑えたいと考える場合には、慎重な検討が必要です。
【状況別】家族葬と一般葬、どちらを選ぶべきか判断するポイント
ここまで家族葬と一般葬の様々な違いを見てきましたが、最終的にどちらを選ぶべきかは、故人の遺志や生前の交友関係、遺族の状況などによって異なります。
画一的な正解はなく、それぞれの家庭の事情に合わせて総合的に判断することが大切です。
このセクションでは、どのような場合にどちらの形式がより適しているのか、具体的な状況を想定しながら判断のポイントを解説します。
自分たちのケースに当てはめながら、最適な選択をするための参考にしてください。
家族葬が向いているのはこんな人
家族葬が向いているのは、故人や遺族が「親しい人だけで静かに見送りたい」と希望している場合です。
具体的には、故人が高齢で生前の交友関係が限定的であったり、遺族が高齢で参列者対応の負担を避けたいケースが挙げられます。
また、葬儀費用をできるだけ抑えたいと考えている場合も、家族葬は有力な選択肢となるでしょう。
人間関係のしがらみや世間体を気にせず、アットホームな雰囲気で故人との最後の時間を大切にしたいという価値観を持つ方に適した形式です。
家族葬と一般葬で迷った際に、これらの点に重きを置くのであれば、家族葬を選ぶのが良いと考えられます。
一般葬が向いているのはこんな人
一般葬が向いているのは、故人が社会的な地位にあったり、現役で仕事をしていて交友関係が広かったりした場合です。
会社関係者や取引先、多くの友人・知人にきちんとお別れの場を設けることが、故人の社会的責任を果たすことにもつながります。
また、昔からの慣習や地域のしきたりを重んじる場合や、世間体を考慮して伝統的な形式で葬儀を行いたいと考える遺族にも適しています。
多くの人に見送られることで故人も喜ぶだろう、と考える場合も一般葬がふさわしい選択です。
家族葬と一般葬を比較し、社会的なつながりを重視するなら一般葬を検討するのがよいでしょう。
それでも迷ったときの相談方法
家族葬と一般葬のどちらにすべきか、判断に迷う場合は、まず親族間でしっかり話し合うことが不可欠です。
特に費用を誰が負担するのか、どこまでの範囲の人に知らせるのかといった点は、後々のトラブルを避けるためにも、事前に意見をすり合わせておく必要があります。
故人のエンディングノートなどがあれば、その意向を最大限尊重するのが良いでしょう。
それでも結論が出ない場合は、複数の葬儀社に相談してみることをお勧めします。
専門家である葬儀社のスタッフに自分たちの状況を伝え、それぞれの形式での見積もりやプランを提案してもらうことで、客観的な視点から判断しやすくなります。
家族葬と一般葬の違いに関するよくある質問
家族葬と一般葬の違いについて、大枠は理解できても、参列する際のマナーや費用に関する細かな点で疑問が残ることもあります。
例えば、服装や香典の扱いは同じでよいのか、僧侶へのお布施は変わるのか、といった具体的な質問がよく寄せられます。
ここでは、そうした家族葬と一般葬の違いに関するよくある質問を取り上げ、それぞれのケースについて分かりやすく解説していきます。
いざという時に慌てないよう、知識を整理しておきましょう。
参列するときの服装に違いはありますか?
結論から言うと、参列する際の服装に家族葬と一般葬の違いはありません。
どちらの形式であっても、故人への弔意を示す場であることに変わりはないため、準喪服を着用するのが基本的なマナーです。
男性であればブラックスーツ、女性であればブラックフォーマルが該当します。
ただし、遺族から「平服でお越しください」といった特別な案内があった場合は、その意向に従います。
その場合でも、黒や紺などのダークカラーを基調とした、控えめで露出の少ない服装を選ぶのが礼儀です。
家族葬と一般葬の違いは参列範囲であり、儀式の格式が下がるわけではないと心得ておきましょう。
香典の扱いや金額の相場は異なりますか?
香典の扱いについては、家族葬の場合、遺族が香典を辞退するケースが一般葬に比べて多く見られます。
これは、参列者が少ないため香典返しの手間を省きたい、参列者に金銭的な負担をかけたくないという遺族の配慮によるものです。
案内状などで事前に辞退の意向が示されている場合は、香典を持参しないのがマナーです。
香典を受け付ける場合の金額相場については、葬儀形式による違いはなく、故人との関係性の深さによって決まります。
友人であれば5千円~1万円、親族であれば1万円~10万円程度が目安となります。
香典辞退は遺族の費用負担が増える側面も持ち合わせています。
僧侶へお渡しするお布施の金額は変わりますか?
僧侶にお渡しするお布施の金額は、家族葬か一般葬かという葬儀の形式によって変わるものではありません。
お布施は、葬儀の規模や参列者の人数に対して支払う対価ではなく、読経や戒名を授けていただいたことに対する僧侶や寺院への感謝の気持ちを示すものだからです。
したがって、葬儀が小規模な家族葬だからといって、お布施の費用が安くなるわけではありません。
お布施の金額は、宗派の慣習、寺院との関係性、いただく戒名の位(ランク)などによって決まります。
金額に迷う場合は、直接お寺に尋ねるか、葬儀社の担当者に相談して相場を確認するのが確実です。
家族葬と一般葬の最も大きな違いは参列者の範囲にあり、この違いが費用、葬儀当日の遺族の負担、メリット・デメリットなど、様々な側面に影響を及ぼします。
家族葬は親しい人だけでゆっくりと故人を偲べる一方、周囲への配慮が必要となり、一般葬は多くの人に見送ってもらえる反面、費用や対応の負担が大きくなります。
どちらの形式が優れているということではなく、故人の遺志や人柄、遺族の状況や考え方によって最適な選択は異なります。
家族葬と一般葬の違いを正しく理解し、後悔のないお見送りができるよう、親族で十分に話し合って決めることが重要です。





